文系男子からリベラルさが失われたというやつ

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いやー、素人なんで「リベラルさ」って何なのかよくわかんないことも多いんですがこの話のもとになっている調査が実施されたのが2015年の初頭だということには注意してほしいと思いました。アベノミクスが失敗に終わりかけているというのが日本全体として共有されつつある2019年の今ではなく2015年であって、「官僚から政治主導に」とか「国民の生活が第一」とか言ってた民主党政権が素人だらけだったからか失敗して当時の就職は最悪であり自民党になったらなにやら復活してきて就職氷河期を脱出できたわけじゃないですか。そりゃ反権威を標榜する奴らに対して疑念も浮かびますよ。専門家に任せたほうがいいよってことになりますよ。

 

ところで

自身の恵まれた環境を振り返って他者を思いやることのできる公正観、そして、新たな 社会を見通すことのできるイノベーティブな思考――そういった意味でのリベラルさ

 みたいな感じのことが書かれているので、なんとなくわからなくもないんだけど、でも個人的には「新たな社会を見通すイノベーティブな思考」とか偉そうなことを言っている人がほんとうに先端を走っている人たちに目を配って新たな社会を見通していたことなんてほとんどなかった(既に世間で数年以上前から話題になったことを捉えてこれからの社会は〜なんて言ってる人だらけだった)ので既にこの時点で割と引いて見てしまうのです。

 

そして日本がとても豊かで周囲の国がまだ貧しく、自分が裕福だという自覚を持てていた1995年頃と違ってもういまは周囲の国のほうが生産性が高かったりしているし例えば日本の大学を卒業した日本人が日本のメーカに就職するよりも中国の大学を卒業した中国人が中国のメーカに就職するほうが給料も高いみたいな状況だし世界に誇れる技術力なんかももうほとんどないわけじゃないですか。自分たちが恵まれた環境であると自覚して他人に施せっていうけど、めちゃくちゃ元気な隣の中国企業たちを見ていてどうして自分たちが恵まれた環境にあると自覚できましょうか。かといってグローバルな企業でガチに全世界の人を相手に戦うほどの実力もない。そんで日本企業に就職してどうやったら生き残っていけるか、ということを考えても「伝統がある」「歴史がある」「昔からある」みたいなラブライブ1期1話でみかけたような答えになっちゃうわけで、そりゃ伝統を大事に、みたいな思考にもなっちゃうと思うんですよね。

 

 

いや、実際のところ伝統とか継続性みたいなのはとても大事で、例えばMacBook Airを見てもらったらわかると思うんですけど、10年以上デザインのテイストは一貫してると思うんですよ。今の日本でこれ以上に継続してデザインが維持できているPCのブランドありますか? あります。レッツノートですね。彼らは伝統を大事にしているから生き残っているわけで、そういうところに「イノベーティブさが足りない」って特攻して勝てるわけない戦いをしてきたのがこの15年の日本企業だったということを踏まえて、むしろ1995年の調査のほうがバブルの残滓で浮かれていて変だった!!みたいな可能性があるという気すらしています。

 

 

ところで権威主義というのをやたら敵視する人がmstdn.jpに居まして、結局権威主義ってなんなのかなーってのがいまいち自分のなかではっきりしていないので、この記事を手繰れば、「一般的にどういう設問にどう答えることを権威主義とみなしているのか」がわかるかもと思って調べたのですが、下記の論文によればSSPによる調査では下記設問が権威主義的項目とされているようでした。

http://srdq.hus.osaka-u.ac.jp/PDF/SMM1995_r6_4.pdf

権威のある人々には常に敬意を払わなければならない

以前からなされているやり方を守ることが、最上の結果を生む。

伝統や習慣にしたがったやり方に疑問を持つ人は、結局は問題をひきおこすことになる。

この複雑な世の中で何をなすべきかを知る一番よい方法は、指導者や専門家に頼ることである。

なるほどね。でもこれに反対の態度をとったりなんかしたら就活マナー全否定になりますよね。氷河期の就職活動では全肯定していかないと就活を勝ち残れないやつじゃないですか? 文系男子で目立っているというのも、彼らが就職に関するプレッシャーに一番さらされる層だからですよ。だからもしこういう項目の設問で反権威主義的態度を学生に取らせたいのなら、景気を良くして売りて市場にするのが一番手っ取り早いと思いましたし、1995年から2015年の変化についてもそれまでの5年間の新卒求人倍率の影響が大きすぎて他はしょうじきどうでもいいような気がしました。