8ビットパソコンの話

8ビットとか16ビットのパソコンの昔話をするおっさんよく居ますよね。僕もそんなおっさんの一人です。でもさ、当時僕らは子供だったわけで、そのときに新機種が発表されたのを知るのはパソコン雑誌なわけじゃないですか。そうするとその雑誌の記事がどうだったかでその機種の印象が割と左右されてしまう。さらに、そのころに持ってた知識量なんてごくごく限られているわけで、どうしても限定的な‘理解しかできないままその機種について語ってしまう感じになりがち。

 

 

インターネットのWebページでいろいろ過去に関して語られているのを見ているので当時よりは偏見は少なくなっていろんな情報を多面的に見ることができるようになっていると思うけど、でもたとえば「どうして88SRとか98VMはあんなに覇権を取れたのか。88SRとか98VMが他機種に比べてよかったところってなんだよ」みたいなところに関しては意見が分かれちゃうところだと思うんです。

 

 

「日立のS1って8ビット最強って言われてたけど何が最強だったのか」みたいなやつ、1MBのメモリが扱えるというのは確かにすごいけど、それが当時のユーザーにとってどれほどのインパクトがあったのか、みたいなところはよくわからない(だって当時ってVRAM48KB/メインメモリ64KBで全然十分やってけるぜ、みたいな雰囲気なかった?)。

 

 

他にも、X68000を持ってなかった人にとってみればX68000は夢のように何でもできるパソコンという印象だったみたいですが、X68000を持っていた僕にとってみれば「たしかに使ってて楽しいけどとにかくCPUが遅くてつらい、グラフィックはピクセルが正方形じゃなくて横長でつらい、PCG定義数が少なすぎてつらい、FM音源でPSGの音がそれらしくならせる定番の音色パラメータが普及するまでは音楽の移植もちょっと難しい」みたいな割と難しい機械だったんです。X68000の画面解像度が256x256/512x512じゃなく、320x240/640x480だったらどれだけ良かったことかと(ピクセルクロックが25%くらい上がっちゃうので技術的にできなかったかもしれないが)。

 

 

ちなみに最初の話に戻って、個人的に88SRが良かったと思うのは、他のシリーズがグラフィックの表現力を上げて4096色表示とかをサポートしていく中、最後まで512色中8色のスペックのまま突き進んだうえ、継続して速度向上を進めたところでした。要するにSR以前の88の最大の欠点はグラフィックの表現力に対して速度が遅かったことであり、それをNECはわかっていたのかわかっていなかったのか、SR、FH、FE2と着実に速度向上がなされました。もちろん同時発色数が少ないのも課題ではあったんだけどNECはそれよりCPU速度向上と音源拡充を選んだ。その選択は割と当時の風潮やユーザーの要望からズレていたけと思います(僕らはたぶん、多色化やハードウェアスクロールや多色化を望んでいました)。ユーザ要望に沿わなかったことが結果的に正解だったということだと僕は思ったりもするのですが、実際どうだったんだろうってのはよくわかりません。